「実家を片づけてみませんか?」に見る、母の苦しみ
こんにちは。静岡大人の片付け塾 八木幸子です。
先日放送された、TBSテレビ「水トク!実家を片づけてみませんか?」という番組をご覧になりましたか?
親が健康でいるうちに実家の片づけをしておかないと、
後々大事なものが見つからなかったり、
残された家族が遺品整理に費用がかかってしまったり、
さらには大切な思い出が詰まった実家が解体もできずに空き家となり放置されてしまうケースも珍しくない。
元気なうちに、残されるであろう遺族のために生前整理を行うことは、現代社会で生きる上で非常に重要なのだ!
(HPより引用)
そうですね!
私も、非常に重要だと思います。
でも、この考え方は「遺された人」のために。という印象が強い気が。
どちらかと言うと、私は「そこに住んでいる人」のために、してほしいと思うのです。
老後の人生が、活き活きと快適に暮らせるように。という視点があれば。
番組で紹介されていた、10年間掃除をしたことのない母。
家を出て一人暮らしの、責任感の強い長女とは、険悪の仲です。
かつての私も、「片づけられない母」(自分の母です)のことが理解できずにいました。
どうして必要がないのにモノを増やす?
どうして使ったら戻さない?
どうしてこの状態が気にならない?
長女さんの気持ちがすっごく分かるんですね・・
次女さんは、姉と母のけんかが辛くて家を出たのだとか。
この娘さん達は、母との関係を修復したくて、絆を取り戻そうと、一緒のお片づけに取り掛かります。
「誰かが一緒にやってくれたら。一人でやるのは辛い」そうお話ししていたお母さん。
私が整理収納を習ったとき。
「片づけは理論を学べば誰にでもできる。片づけられないのはやり方を知らないから」と習ったんですね。
でも今、いろんなお客さまと対峙する中で、それは違うのではないかと思っています。
自分だけでは難しいけれど、誰かと一緒なら頑張れる。という方はたしかにいます。
理論も理解した。
やり方も分かった。
やった方がいいのも分かっている。
でもそれだけでは、「やれる」わけではない。
片づけ以外でも、誰にでもそういうことがあると思います。
誰だって苦手なことはある。
「片づけられない」ことが悪なのではなく、「それが苦手」という事実がそこにあるだけ。
「もったいないって一言は簡単やし、確かにモノは大事やと思う。だけど・・」
「じゃあ、いつそれ使うの!?」
娘の正論にぐうの音も出ない父と母。
大事にしたい思い出の品。自分にとっての宝物も、どんどん捨てられてしまいます。
誰が何を大事にしているのかなんて、その本人にしか分からない。
正論を振りかざして、父母の人生を踏みにじってしまうのは、それは誰も望まない。
使わなくても、大事なものはあります。
大事なものを、さらに大事にするためのお片づけをしてほしいな。と思います。
この番組のお母さんも、いったん部屋はきれいになっても、また戻るのでは?
咤激励は要らない。
このお母さんに必要なのは、私たちのような、寄り添えるプロの存在ではないでしょうか。
私は、本気でそう思います。
静岡藤枝・大人の片づけ塾 八木幸子でした。